2018年9月、今回訪れた北海道旅行の目的先、ニッカウヰスキー北海道工場余市蒸留所についに行ってきた。
まだまだウイスキーは初心者だが、ジャパニーズウイスキーの父が作ったこの余市蒸留所は、どうしても早く見に行きたかったのだ。
事前にニッカのオフィシャルHPより予約をして当日訪れたが、ここの蒸留所見学はツアーの空きがあれば当日そのまま入れてくれるとのこと。
でもやっぱり念のため、予約はした方がいいだろう。
札幌から余市までの移動
▼余市駅
札幌の宿から約1時間半かけて、余市に到着。
かなりローカルな路線を乗り継ぎ、素晴らしい風景を見ながら来ることができた。
小樽からはワンマン運行になり、余市までの駅での下車は運転手に賃金を払うようなシステムみたいだ。
斬新すぎる。
▼余市駅の時刻表
車やバスを使う方は問題なく大丈夫だと思うが、鉄道を使ってここに来る際は本数が少ないので、見学の時間に合わせるような時間配分が必要かなと今回感じた。
駅の近くは特に見どころもないので、変に電車を逃してしまうと1時間以上どこかで待つ必要があるので、蒸留所内で見学をするか駅でひたすら待つ、という選択になりそうだ。
ちなみに今回は、10時03分に余市駅に到着をし、90分の蒸留所無料見学ツアーに参加をして、買い物と、改めて個人での蒸留所内見学をして13時45分の帰りの小樽行き電車に乗り、割とちょうどよく見て回れた感じがした。
さらにゆっくり見学したい場合は、次の15時の電車が良いかもしれない。
▼運賃表
札幌からくる場合は片道大人1人1070円となっている。
小樽から西のエリアはICカードが使えないということで、キップで購入の方がいいかもしれない。
もちろんICで入っても、駅員さんがきちんと処理をしてくれるので余市駅での現金支払いは可能だった。
駅の前にはNHKドラママッサンに関わるプレートが立っていた。
余市蒸留所に到着+予約の確認
▼余市蒸留所
余市駅を出てまっすぐ5分ほど歩くと、余市蒸留所が見えてくる。
国の文化財にも登録されている建物も数多くあり、80年以上前に建てられたとは思えない、シンプルだが非常に洗練された綺麗なデザインの蒸留所だ。
↑余市蒸留所の場所はこの辺。
▼入り口横の受付
入ってすぐにある、ここの受付で予約時の名前を伝えた。
予約は11時30分の回で行っていたが、10時30分のツアーでも参加できるという事でそちらに変更をしてもらい、待合室で待つことに。
よく見る蒸留所の風景は、この入り口からのものだったのだな。
▼待合所
受付を通って左手にあった待合室の入り口を入ると、ニッカのトレードマーク、ひげのおじさんがお出迎え。
このモデルの人は実在したらしく、ウイリアムローリーという19世紀のウイスキーブレンダーらしい。
たくさんの匂いをかぎ分けることができる、ブレンドの王様(キング・オブ・ブレンダーズ)と呼ばれていた。
ちなみに工場見学の時間帯は、9時から12時までの30分毎と、13時から15時30分の30分毎で開催されている。
▼待合所内の様子
無料見学ツアーの最後に試飲時間が用意されてあるが、試飲をしたい人はこのカードに名前と年齢を記入して、試飲場所入り口でスタッフに渡す流れとなる。
ツアーに参加しない場合でも、試飲会場の1階にこのカードが置いてあるので、来場者は自由に試飲ができるシステムだった。
ツアーが始まると、上記のウイスキー製造工程の流れを説明をしてくれ、実際に現場を回る流れとなっている。
建物の配置上、製造行程順に見ることができないので、全体の流れを先に知ってもらおうという事だ。
▼珍しいウイスキーなど
待合所の展示スペースには、今ではほとんど店舗では見ないようなウイスキーや、終売の商品が展示されている。
蒸留所見学開始-待合所での説明とキルン塔
▼ツアー参加者
10時半になり、先ほど受付に居た方がツアーのガイドとなり案内をしてくれた。
上述したウイスキー製造工程の説明から始まり、そのあと実際に工場の見学を行った。平日の午前中だったが、おおよそ35名の参加者がこの時間に集まって参加していた。
このような番号札を最初に渡されるので、それを付けてツアーを回った。
▼蒸留所内の見学
待合室を出てすぐにある、キルン塔。
こちらは生産量の問題で、いまはイベント時にのみ使っているらしい。
ここで泥炭(ピート)を焚いて、ウイスキーの原料となる大麦の乾燥、匂い付けをしている。
ラッキーにもこの日の数日前にイベントがあったらしく、中はまだかなり煙たい匂いが濃く残っておりその匂いを感じることができた。
蒸留所見学-蒸留棟
▼蒸留塔
本来なら次の生産工程は、先ほど燻した大麦を粉砕して糖化し麦汁を作り、酵母を加え醗酵させる「醗酵塔」での作業があり、その醗酵したものがこちらの蒸留棟に送られる。
そしてこの蒸留棟内のポットスチルで蒸留をする。
この時送られる「もろみ」は、大体アルコール度数8%程度らしい。
それをここで2度蒸留をし、約63%にまで上げてウイスキーの原酒となる。
建屋の位置の構造上先にこの蒸留塔の見学が行われた。
▼蒸留棟内
現在、棟内には6基のポットスチルがある。
蒸留所ができた頃は、手前から4つ目の小さなポットスチル1基のみあり、これで初溜と再溜の2回蒸留を行っており、非常に手間がかかっていたようだ。
現在は手前のポットスチル3基で初溜、奥の新しいポットスチル2基で再溜を行っており、初期に使われていた小さなポットスチルは使用をしていないとのこと。
創業者、竹鶴政孝はもともと酒蔵に生まれたという事もあり、ポットスチルの上部にしめ縄がされているのがとても特徴的で可愛い。
初溜で約6時間かけ蒸留をしてアルコール度数を約20%に、再溜を約12時間行い約63%までアルコール度数を引き上げる説明書きも、親切に用意されていた。
▼炭入れの様子
この余市蒸留所は伝統を守り、世界では今ここだけという石炭直火焚き製法で蒸留を行っている。
こうすることでコクのあるウイスキーが作れるという事で、この辺にかなりウイスキー造りへのこだわりが見受けられる。
見学中もこまめに石炭を足す場面を見ることができ、熱気と迫力がとても伝わってきた。
ちなみにツアーでの見学時は蒸留棟の割と奥まで入ることができるが、ツアー参加ではない個人で見る場合は建屋手前までしか入ることができない。
ポットスチルに近い写真を撮りたい場合は、ツアー時に奥まで入って撮るのがいいかなと感じた。
ツアー以外の一般公開時は、写真には写っていないが割と手前に上の写真にある赤いひもが引かれている。
ツアー時には、写真左下にある重機手前の奥の赤いひもの位置まで行くことが出来たので、15mくらい撮影位置に差が出るだろう。
蒸留所見学-発酵塔と諸建築物
▼醗酵棟
次に訪れたのが、蒸留棟の奥にある醗酵棟。こちらで醗酵させたものを、先ほどの蒸留棟に送り蒸留をさせることになる。
中までは入ることはできないので、パネルとガイドさんの説明を受けた。
大体3~5日ほど醗酵させることで、8パーセントほどの度数の「もろみ」ができる。
ここから蒸留棟には地下に配管されているパイプを通って送るのだが、その理由がここ余市では冬に積もる雪が1.5mにもなるため、凍結防止のためにそのように地下に配置しているとのこと。
なるほどなぁ~という説明が色々あってガイドさんの話もとても面白く聞くことが出来た。
▼設立当時の事務所
醗酵棟の横には、昭和9年(2018年で言うと84年前)に作られた、当時の事務所がある。
今は中の様子を見ることができるが、ガラス張りで中には入ることができなかった。
▼リタハウス
旧事務所を奥に進むと、リタハウスがある。
もともとは住宅として建てられたが、同時に蒸留所の事務所としても使われ、さらにここでウイスキー製造の研究やブレンドも一部されて、研究室としても使われていたようだ。
最近まではカフェとして営業していたらしいが、老朽化のため耐震基準に合わなくなったこともあって、現在は内部への立ち入りはできなくなっている。
洋館というたたずまいで、とても美しい外観だ。是非中も見てみたかった。
▼旧竹鶴邸
余市町の郊外にあった住居を、平成14年に工場内に移築、復元してこの場所に展示をしている。
ロビーのみ入ることができるが、当時のアイテムを展示しており、歴史を感じて見ることができる場所だった。
レンガの石畳の横に、石の灯篭があったり、2枚目上部に洋風の窓の中にふすまがあったりと、和洋折衷な作りになっているのが特徴的。
▼貯蔵庫
ウイスキー製造工程最後の場所である、一号貯蔵庫。
蒸留所設立当時からある場所で、現在は見える範囲の場所はすべて空樽で、倉庫奥に原酒を保管しているようだ。
奥行き50mという巨大な倉庫になっている。今現在は全部で26棟もの倉庫があるとのこと。
倉庫の中は独特な、樽とアルコールの匂いが充満しており変わった雰囲気がした。
そんな感じでツアーでのウイスキー製造工程の案内についてはここで終わりで、続いてはニッカの歴史やウイスキーについての説明がある「ウイスキー博物館」、試飲場所の「ニッカ会館」、お土産販売の「ディスティラリーショップノースランド」についての案内があった。
こちらについては次の記事でご紹介!