【ツアー編】 2022年11月 久しぶりにニッカウヰスキー余市蒸溜所へ工場見学に行ってきた

2022年11月。

今回の北海道旅行の目的でもある、ニッカウヰスキー余市蒸溜所へ工場見学ガイドツアーに参加するため、久しぶりに余市にやってきた。

訪れた2022年11月の時点では、工場見学のガイドツアーに参加するには予約が必須となっている。

ただ予約が無くても余市蒸溜所内にある「ディスティラリーショップ ノースランド」でお土産を買ったり、「レストラン樽」の利用、あとは「ニッカミュージアム」の見学は自由だ。

蒸留窯焚きや貯蔵庫など、工場部を見たい方は必ず予約をしガイドツアーに参加をする必要がある。

この日の余市蒸溜所への入場と、売店「ノースランド」での買い物については前編で紹介。

目次

余市蒸溜所 工場見学ガイドツアーの開始

13時からのガイドツアーを予約していたこの日、早めに到着しお土産なんかを見ていたらあっという間にツアーの時間がやってきた。

ツアーに間に合うよう、12時50分ごろに入り口にある見学者待合室へと移動をした。

前回と同じく、アルコールの無料試飲をするゲストはこの用紙に名前を書いた後、試飲セットと引き換えとなるので記入をして準備。

この13時からのガイドツアーはゲスト23人と、ガイドさん+サポートの方1人でスタートをした。

待合所でウイスキーの製造工程を説明してもらい、いよいよツアーのスタート。

録音や動画の撮影はツアー中は禁止なので、必死でガイドさんの説明を聞きつつメモ書きをしてみた。

キルン塔(工程1)

まず最初にガイドしてくれたのは、待合所を出てすぐ目の前にある「キルン塔(乾燥棟)」。

2階建ての構造になっており、2階部に原料である発芽させた大麦を置いたあと、1階の下からピート(泥炭)を炊いて独特なスモーキーな匂いを付ける工程。

ただ現在はイベント時や研修時のみに使用し、年に数回しか使っていないようだ。

じゃあ普段ピートの香りはどうやって付けてるの?という疑問があるが、イギリスから原料の大麦を輸入する際にすでに匂いついたものを買ってるとのこと。

なるほどなぁ。

前来たときはキルン塔の扉が開いていて中に入り、実際にピートの現物をここで見れたけど、今回はキルン塔の外観だけを見ながらガイドさんの説明を聞くのみだった。

日によっては、ここの扉が開いてたりシチュエーションが変わるんだろうな。

蒸溜棟(工程4)

次に案内をしてもらったのが、「蒸溜棟」。

建屋の並んでいる順番上、工程が少しいれ違ってしまうが、後に出てくる「粉砕・糖化(工程2)」と「醗酵(工程3)」という工程を行うことにより、原料の大麦→麦汁→そしてアルコールのある「もろみ」と呼ばれる液体ができ、その「もろみ」をこちらの蒸溜窯に入れて高温で焚いて蒸溜をしている。

「もろみ」の時点ではアルコール度数8%ほどだが、この蒸溜工程を2回行うことで、初溜で20%ほどに、再溜で63%ほどの無色透明のウイスキー原液が出来上がる。

ご覧の通りここでは石炭を使って火を焚いており余市蒸溜所は世界で唯一、石炭直火蒸溜を行っている蒸溜所だ。

5~10分に1度このように釜の様子を見る必要があり、非常に手間がかかる上に安定した温度を保つための技術を必要とする方法だが、この直火蒸溜のおかげで800~1200度という高温により中の「もろみ」が焦げ、これが余市でできるウイスキー特有の芳ばしい香りと力強い味になっている。

前回も今回もこの石炭を釜に入れる様子を見ることができ、最初はゲストのためにわざわざ石炭を入れてくれてるのかな?タイミングがいいのかな?なんて思っていたけど、今回説明を聞き知ったが全然そうではなく、それくらいとても細かく様子を見なければならないようだ。

そして釜の扉が開いた時のぶわぁと迫ってくる熱気はすごく、本当に迫力があって素晴らしい。

世界中で飲まれているウイスキーというお酒で、世界で唯一の製造方法とか感動しかない!

蒸溜棟の全体を引いて見るとこんな感じ。

このように全部で7つの蒸溜器(ポットスチル)が蒸溜棟に設置されており、現在は手前の4つが初溜器で奥の2つが再溜に使用されている。

こちらの写真に写っている左から3番目の小さな蒸溜器が、創立当時(ニッカのサイトには1936年!と記載)に使用していた蒸溜器で現存しており、今は使用はされていないという事だ。

各蒸溜器の上部に締められているしめ縄は、創業者竹鶴政孝氏の実家が造り酒屋だったため、その風習にならい良いウイスキーができるようにと願いが込められている。

毎年1月の初めに、蒸溜所近くの余市神社にこのしめ縄をしめ直してもらっているとのこと。

またガイドさんは宮城峡蒸溜所との違いも少し説明してくれ、宮城峡はスチーム間接蒸溜という方法で蒸溜をしており、石炭に比べ温度が低く、そのため「もろみ」に焦げ目は付かず飲みやすくて軽やかなウイスキーができるという違いがある。

蒸溜棟の中にあったウイスキー造りの工程を説明したホワイトボード。

前回のガイドツアーとはまた違う情報も得られてめっちゃ楽しめたな。

粉砕・糖化棟(工程2)

少し工程が戻るが、先ほどの蒸溜工程に行く前にできる「もろみ」を作るまでの工程説明が次にあった。

残念ながら粉砕・糖化棟(工程2)は、屋根の工事?かペンキ塗りのためこの日は入ることができず。

外から眺めた状態で説明をしていただき、イギリスから入荷した大麦を粉砕したのちに糖化槽へ約60度の温水と混ぜ合わせ攪拌した後に、糖化酵素の働きで甘い「麦汁」へと変わる。

この「麦汁」はメロンと同じくらいの甘さらしく、例えるなら麦茶に砂糖を入れたような味のようだ。

こういうものまで自分で体験して味を見たのかな?素晴らしいガイドさんだわ。

 醗酵棟(工程3)

残念ながら次の工程の発酵棟も、今回は中に入って見ることができず外からの説明を受ける。

先ほどの「麦汁(糖化液)」を醗酵槽へと送ったあとウイスキーの酵母菌を加え、そのあと4日ほどでアルコール8%ほどの「もろみ」ができあがる。

そしてこの「もろみ」を地下のパイプで先ほどの蒸溜棟へ送られ蒸溜工程(工程4)、という流れとなっている。

糖化・醗酵の工程現場は今回見れなかったけど、前回見ることが無かった樽詰めされたウイスキーを、リフトで運ぶシーンを見ることができてラッキー。

旧事務所

続いてウイスキーの工程ではないが、「旧事務所」として使用されていた建物について。

創業したての時、ウイスキーは完成しても貯蔵して長期間寝かせる必要があり、すぐに商品化は当然出来なかった。

なので余市で採れるりんご等の果物を使って、ジュースやジャムといった加工食品を製造して事業を行っていた。

そこから社名を「大日本果汁株式会社」と付けたのち、大日本の「日」と果汁の「果」取り、昭和27年に「ニッカウヰスキー」と社名変更を行っている。

このウヰスキーの「ヰ(イ)」の文字について、本当はウイスキー製造に水を使うので漢字の井戸の「井」を使いたかったが、当時は漢字とカタカナを混ぜた社名が登録できなかったので、このような似ている文字を使った名前になったようだ。

リタハウス

続いてはさらに奥に進み「リタハウス」の案内。

昔はここでウイスキーのブレンドなどの研究がここで行われており、ブラックニッカはここで産まれた。

敷地内で一番古い建物がこのリタハウスで、窓ガラスが当時の特徴的な波打ったもので珍しいガラスだ。

現在は耐震性の問題で中に入ることができない。

前回も入れなかったし、いつかは工事がされて中の様子を見てみたいものだ。

旧竹鶴邸

こちらは工場から1kmほど離れた場所にあった、創業者竹鶴政孝氏と夫人リタさんが暮らしていた住居。

それを2002年に現在の敷地内に移築して耐震工事も行い、現在は玄関とホール、庭園を見ることができる。

こちらは外からの説明をしていただいたが、ガイド終了後のフリーの時間にゆっくりと見学することが可能。

貯蔵庫(工程5)

そしてガイドツアー最後に案内をしていただいたのは、ウイスキーの原酒を樽詰めして寝かしている貯蔵庫。

しかも1号貯蔵庫だ。

余市蒸溜所は敷地面積が4万坪、約13万㎡もあり東京ドームでいうと3個分、その中に27の貯蔵庫が置かれている。

貯蔵庫が先ほどの製造工程と少し離れた位置にある理由について、万が一火災が起きても大丈夫なように火を使うところと貯蔵庫をなるべく離しているという工夫がされている。

またこれらの貯蔵している樽は木でできた生き物であり、温度や湿度の変化により収縮し呼吸をしている。

そのため呼吸による微妙な隙間から毎年少しづつ原液が蒸発しており、10年で樽の1/3が、20年で半分も蒸発してしまう。

これを少しでも和らげるために、蒸溜所の裏にある余市川で発生する霧やモヤが生かされているようだ。

もちろんウイスキーの原料となる美味しい水を探し求めたのもあるし、この地はそのような自然現象も生かして美味しいウイスキー造りが行われているのだ。

ちなみに1945年に蒸留し貯蔵を開始したものが今ある一番古い樽とのこと。

というと77年ものかぁ、少しでも原液はのこってるんかな?

こちらの1号貯蔵庫の奥行きは50mで、上の写真のように入り口付近の手前に置かれているものは空樽で撮影用に樽の面を化粧(装飾)しているらしい。

実際に保管に使われている樽の面は、樽材などの情報が入ったバーコードのシールが貼られてるんだって。それもいつか見てみたいなぁ。

貯蔵して寝かされたウイスキーは、一定期間を経てから熟成されたのち樽からサンプルとして出され、柏にあるニッカのブレンダー室に送られて、混ぜ合わされブレンダーのOKがでたら正式にボトリングがされるようだ。

今まで全然知らなかったけど、柏工場の見学ツアーがあるならめちゃくちゃ行きたいな!

過去の情報を見てみると、「ニッカウヰスキー(株)柏工場 地域ふれあい感謝デー 2019」とか開催されたみたい!

行きた過ぎて吐きそう。

という感じで約40分の工場見学ガイドツアーは終わり、試飲会場へと移動。

長くなったので、次の記事にて引き続き試飲のようすと、新しくできた「ニッカミュージアム」について書こうと思う。

ではまた!

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